2021/03/27

尊敬する上司に教わった、仕事時間への向き合い方

コミュニケーション > 考え方・マインド 冬木しょうこ

 

 

「尊敬」の意味を「価値観を形成するうえで、大きな影響を受けた」と定義するのであれば、私には尊敬できる上司が1人います。

その方とは、著しい業績不振にあえいでいた20代の頃に出会いました。

 

この上司からは、物事のとらえ方について実に様々な気づきを得ました。

例えば商談に失注したら「その結果に落ち込むのではなく、以前と比べて成長したことを見つける」という考え方を教わりました。

そして、そういう考え方に基づいて数か月仕事を続けるうちに、悪循環にはまることなくなりました。

苦手だったお客様とのやり取りも楽しくなり、トップセールスをとり、そして昇格も果たしました。

 

(以下の記事に少し詳しく書いてます)。

【前半】周囲を味方につける世渡り上手は、3つの習慣を大事にしていた。

 

この上司の教えがなかったら、「自分には営業が向いていない」とあきらめて、会社を辞めていたでしょう。

 

その中でも、冒頭に挙げた、仕事時間の考え方について、特に印象に残っているエピソードがあります。

 

確か、社会人7年目が終わる春の話だったと思います。

営業チームで広報を1年ほど兼任していたのですが、広報に集中するため、広報チームに異動することになりました。

 

異動まで残り僅かとなったときに、その上司との雑談で

「デスクの移動もしないといけないんですよね…どうやって進めていくのか、やるべきことを具体的に書き出して、整理したいと思います」

と言ったことがあります。

 

それを聞いた上司は、

「やるべきことを先延ばしにせず、しっかり取り組もうとする姿勢はとても素晴らしいね。それを続けていると、仕事が速くなる」

と認めてくれました。

 

「加えて、仕事をするうえで、仕事時間への正しい向き合い方は覚えておいた方がいい」

そういう前置きを置いて教えてくれたのが、

仕事時間は、“給料”を使うつもりで使うといい

という考え方でした。

「給料は、会社勤めであれば毎月一定額もらうだろう。1か月で30万円、ボーナス込みで年間400万しかもらえないとしたら、その中で生活費に充てたり、車や住宅のローンや教育費、保険料に使ったりするだろう。そのような『払うべきもの』を一切考えず、欲求のおもむくままに贅沢しようものなら、本当に払うべきお金はほとんど手元に残らなくなる。もっと給料を上げるよう交渉しても、すぐには要求が通らない」

「社会人って大変ですよね」

 

「けど、ここで自分の中に『優先順位』という基準があったらどうだろう。家庭が第一優先だという人であれば、まず家計や子供に使おう、となるだろう。独身だったとしても、結婚資金のために貯金したいと思っている人は、貯金に響くほどの衝動買いはしないだろう」

「…なるほど」

 

「もちろん、給料だったら、自分の能力や経験によって上がっていくから、厳密にいえば制限があるわけではないかもしれない。ただ、時間はそうじゃない。勤務時間が1日10時間と決まっているなら、新入社員も部門長もみんな10時間しかもってない。繰り越し貯金もできない。だから、何かで時間を浪費すると、本当に使うべきところに時間を使えなくなる。つまり、時間は常にトレードオフ関係にある

「たしかに」

 

「で、さっきのデスクに話を戻すと、要は引き出しと机の上の荷物を移動させることだよね。会社が君に求める本来の仕事ではないのに、貴重な勤務時間をあえてじっくり使うのはもったいないんじゃない。君が今一番時間を使うべき対象は、良いコンテンツを制作することだろう。荷物整理はさっさと終わらせて、そこに時間を使ってはどうかな」

 

つまり、上司が言いたかったのは、「何でも時間をかけてやろうとせず、自分の貴重な時間を割くべき対象を選ぼう」ということだったのです。

 

時間配分を考えずに反射的に動くと、有意義なことに使える時間がなくなる。時間をかけずにさっとやっていいものと、優先的に時間をかけるものの区別が大事ということでした。

 

仕事をしていると、つい目の前のことに忙殺されがちです。

気づけば、自分が最も時間を割くべきことに時間を使わず、そうでないものに時間を割いて「仕事をした気」になってしまうことがあります。かつての私がまさにそうでした。

 

しかし、プロ野球選手が、試合を想定した練習をおろそかにして、ベンチプレスばかりしていたら野球選手としては大成しないのと同じように、自分が本来求められている仕事を疎かにして他を注力しても、望ましい評価を得ることはできません。

 

「Time is money」とよく言いますが、給料も時間も常にトレードオフの関係にあります。何かに使えば、他に使える余裕が減ります。

 

だからこそ、優先順位が明確であるほど有意義に使えます。

 

有限な資源をどこに配分すれば、最も望ましい結果が手に入るのか?

その問いの重要性を、上司から教わりました。

 

これこそが、「仕事時間への向き合い方」を教わった瞬間でした。

 

ちなみに、この考え方は、リーダーになるほど重要だと痛感しています。

 

・組織全体の業績を最大化させるために、その業務に誰をアサインすると最も効果的か・プロジェクトを成功させるために、誰にどんな仕事をしてもらうと最も効果的か

 

私の上にいる役職者を見ていると、このように「限られたリソースの最適な分配」を常に考えています。「あれもこれもやる」のではなく、自らの時間とエネルギー、そして組織の時間とエネルギーを、最も重要な一つのことに集中させるというアタマの使い方をしています。

 

経営学の父と言われるP・F・ドラッカーも、成果を上げる人の行動特性として、同様のことを述べています。

成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っている。したがって自らの時間とエネルギー、そして組織の時間とエネルギーを、一つのことに集中する。もっとも重要なことを最初に行うべく、集中する。

ピーター・F・ドラッカー,『プロフェッショナルの条件:いかに成果をあげ、成長するか』,ダイヤモンド社,2000年

 

だからこそ、もしリーダーになっていきたいならば、仕事時間はトレードオフである前提で、常に「優先順位」にこだわる。

 

その意識が、自分を「仕事の出来る人」に育ててくれるのではないかと思います。

 

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